ChatGPT、Gemini、Claude・Gemini Notebookの4つのAIチャットを実際に併用していると、同じ「メモリー機能」は覚えてくれる範囲も異なり、自分で管理できる自由度もまったく違うことに気づきます。
特にGeminiは「覚えておいて。」と頼んでも、別のチャットに移った瞬間にゼロからやり直しになることがあり、同じ説明を繰り返す手間に消耗した経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。私もこれには苦しめられていますが、それを超えるメリットがあるので使い続けています。
この記事では、WEB制作の実務でAIを使い倒している立場から、3つのAIのメモリー機能を公式仕様ベースで比較し、作業内容ごとにどれを選ぶべきかを整理します。
「メモリーの管理しやすさ」でAIを選ぶと消耗しない
結論から言うと、WEB制作にAIチャットを使うなら、機能の派手さよりも「メモリーの管理しやすさ」を軸に選ぶのは一つの考え方で、消耗も軽減できます。管理しやすさとは次のの3点です。
- 何を覚えているかを自分で確認できること
- 覚える範囲を自分で区切れること
- 間違って覚えられた内容を正せること
この3点がそろっているAIほど、同じ指示を繰り返す手間が減り、結果として作業のスピードが上がります。逆にこの3点が弱いAIは、便利に見えても運用でカバーする工数がかさみます。ただ、全てが理想的なAIはなく、難しいなと日々感じています。
なぜ管理しやすさが成果を左右するのか
WEB制作の作業は、ブランドカラーや文体のルール、参照ファイルの構成など、毎回同じ前提条件を伝える場面が多く発生します。この前提条件をAIが覚えてくれるかどうかで、1件あたりの作業時間は変わります。
同じ指示を毎回書き直す時間がコストになる
メモリーが引き継がれないAIでは、プロジェクトのルールやブランドカラーを毎回チャットの冒頭で説明し直す必要があります。1回あたりは数分の手間でも、案件数が増えるほど積み重なり、無視できない時間コストになります。
ファイルを何度もアップし直す作業が積み重なる
メモリーとは別に、参照ファイルの扱いにもAIごとの差があります。無料プランで一度にアップロードできるファイル数に制限があるAIでは、必要なファイルを都度選び直す作業が発生し、これもまた繰り返しのコストとして積み上がります。
メモリーの仕組みは実際どう違うのか
ここからは、ChatGPT・Gemini・Claude、Gemini Notebook、4つのAIのメモリーの仕組みを整理します。各社の公式ヘルプにある情報も含めて表にまとめました。
| 比較項目 | ChatGPT | Gemini | Claude | Gemini Notebook |
|---|---|---|---|---|
| 記憶の仕組み | 会話から自動で記憶 | 保存情報+パーソナライズ | プロジェクト単位で指示可 | ノートブック単位でDB保持 |
| 適用範囲 | アカウント全体 | アカウント全体 | プロジェクト毎 | ノートブック毎 |
| 編集のしやすさ | 設定画面で確認・削除可 | 保存情報を個別に編集・削除可 | 要約を見ながら追記・修正可 | ソースの追加削除・参照切替可 |
ChatGPTは「自動で覚える」設計
ChatGPTには「保存された記憶」と「チャット履歴の参照」という2つの仕組みがあり、有効にしておくと会話の中から自動的に重要な情報を拾い上げて覚えていきます。設定画面の「パーソナライズ」から記憶内容を確認・修正・削除することも可能です。自動で覚えてくれる分、逆に「何が覚えられているか」を意識的に確認しないと、全部記憶していると誤解が生じる状態になりやすい設計といえます。
Geminiは体感と公式仕様にズレがある
Geminiにメモリ機能があるか聞いたら、「ありませんと言われた。」という経験があります。Googleの公式ヘルプページを確認すると、Geminiにも「保存した情報」と、会話履歴を踏まえて自動的にパーソナライズする仕組みが用意されており、現在の公式仕様とはズレがあることが分かりますが、これまでの経験上、他のAIと比べると記憶力が劣る印象があります。
💡 ワンポイントアドバイス
「Geminiにはメモリー機能がない」という体感は、以前は珍しくありませんでした。一方でGoogle公式ヘルプによると、現在は「保存した情報」と過去チャットを踏まえた自動パーソナライズの機能が案内されています。反映されない場合は、設定内の「パーソナルコンテキスト」がオフになっていないか確認するのがおすすめです。
Claudeはプロジェクト単位で書き換えができる
Claudeのプロジェクト機能では、案件ごとに区切られた作業スペースの中でメモリーが管理されます。Anthropic公式の発表によれば、プロジェクトごとに独立したメモリーが作られる設計になっており、別プロジェクトの内容が混ざり込むことはありません。さらに「こういうときはこう対応して」といった指示をカスタム指示として明文化できるため、AI任せの自動記憶ではなく、運用ルールとして固定できる点が大きな特徴です。その一方で、プロジェクトをまたがるメモリーが難しいため、プロジェクト内で完結するようにしなければなりません。
Gemini Notebook(NotebookLM)はノートブック単位
記憶の範囲は「現在開いている1つのノートブック内」に限定される。他のノートブックへ共有・越境することは一切ありません。投入した資料や会話履歴は同じノートブックの専用データベースとして保持されます。チェックボックスで参照するしないを選択することができます。
WEB制作の作業内容別、AIの使い分け方
ここまでの違いを踏まえると、WEB制作の作業内容によって向き不向きが分かれてきます。
参照ファイルの本数で選ぶ
複数の素材を継続的に参照する作業は、ファイル添付数の制限が少ないAIが向いています。
案件の区切りやすさで選ぶ
複数案件を並行して進めるなら、案件ごとにメモリーを分けて管理できる仕組みがあると思考の混同を軽減できます。
利用できる時間・回数で選ぶ
まとまった時間を一気に使いたいか、こまめに区切りたいかで、適するAIは変わってきます。
ファイルを何本も参照する作業はどれが向くか
仕様書やブランドガイドラインなど、複数のファイルを継続して参照しながら進める作業には、アップロードできるファイル数に制限が少ない仕組みが向いています。ファイルを毎回選び直す手間が、作業全体の速度に直結するためです。同じ無料版でもこのように差がついています。
| 比較項目 | ChatGPT | Gemini | Claude | Gemini Notebook |
|---|---|---|---|---|
| ファイル添付 | 上限があり制限はかなり厳しい | 上限はあるが比較的緩い | プロジェクト毎に量的な制限あり | ノートブック毎に最大50件 |
利用できる時間・回数の制約をどう見るか
AIチャットにはそれぞれ利用回数・利用時間の制約があります。長時間の作業を一気に終わらせたい場合と、こまめに区切って作業したい場合とで、向いているAIは変わってきます。無料プランで運用する場合は特にこの制約を前提にする必要があります。
実際の運用はこうしている
3つのAIには仕様上の差があり、こちら側で変えることはできないため、運用上の工夫でカバーしています。特に、メモリーが引き継がれにくいAIについては、必要なテキストや画像、指示書ファイルをその都度アップロードする形を取ったりして、回答の精度を保つ運用を続けています。手間はかかりますが、精度を上げるためには欠かせない作業です。
メモリー機能についてよくある質問
まとめ ~ メモリー機能は「仕組み」で選ぶ時代に ~
- ChatGPTは自動記憶型、Geminiは保存情報+パーソナライズ型、Claudeはプロジェクト単位の明文化型と、設計思想がそれぞれ異なります。
- 「Geminiにメモリー機能がない」という体感は、現在の公式仕様とはズレがあり、設定次第で改善できる可能性があります。
- WEB制作の実務では、参照ファイルの本数・案件の区切りやすさ・利用できる時間の3点で使い分けるのが現実的です。
- 完全な自動化は難しく、運用の工夫(都度のファイルアップロード等)でカバーする前提を持つと消耗しにくくなります。
本サイトでは今後、関連する話題(Claudeの利用制限との付き合い方やGeminiの運用の工夫など)も別記事として順次公開予定です。まずは、今回の内容を実務に取り入れ、AIごとの特性に合わせた使い分けから始めてみてください。
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